トータルフィアー ・・・ 80点

 「ジャックライアンシリーズ」というのをご存知でしょうか。CIAを中心に活躍するアナリストのジャックライアンが主役のスパイ(?)アクションとも言うべき作品群。冷戦真っ只中の米ソの核危機を扱った「レッドオクトーバーを追え」、IRAテロリストの恐怖を扱った「パトリオットゲーム」、南米の麻薬組織とホワイトハウスの汚職を扱った「今そこにある危機」に続く第四作目といえるこの作品。実は私、隠れてお気に入りの作品群でもありました。
 今回も渋谷に出向き、見てまいりました。シネタワーは大き目のシアターを持ついいビルでした。音響もシートも文句なしです。エレベータ内にも案内がしっかりあり、ここら辺はチネも見習えばいいのに・・・と思うのは忙しい中で道に迷った親子を案内しなくてはいけない私の大人気ない愚痴か・・・。おっと話がづれた。
 ロシアの大統領が変わるというエピソードから話は始まります。しかし、後任の新大統領は全く名前の知られていない予想外の人物。たった一人その就任を予想していたのが、民間のシンクタンクに勤める若きジャックライアンでした。そうです、今作は時代的には最新ですが、ジャック的にはCIAに勤める前というなかなか興味深く理解に苦しむ設定になってます。ま、たいしたことではないんですけど。
 新大統領は強硬派なのでは、という米国中枢の主張に彼は反対をします。「彼は強硬派ではない」頑として譲らない彼はCIAの特別顧問としてロシアに飛びます。そんな中、ロシア内の内戦(チェチェン)への科学兵器による攻撃で米ロの関係が緊迫していきます。ウクライナで核兵器製造の兆候が見られるとの情報を得たCIAは極秘にジャックに潜入を指令するのでした。

 相変わらずド派手です。私は見ていないのですが、TVCMで大爆発のシーンをご覧になった方もいるのではないでしょうか。核への恐怖と見えない新大統領。アメリカとロシアの緊迫したやり取りがこの映画のクライマックスといえます。知的なセリフのやり取りと緊迫した政治交渉にまだ結婚前の恋人との(そう、まだ婚約すらしていなく、恋人はまだインターンだったりするあたりにコアなファンはニヤリ)コメディタッチのやり取りが加わるあたりがアメリカーン・・・(^^)。
 ロシア、アメリカが望んでいないにもかかわらず、事態は悪化していきついには最終局面、核ミサイルでの先制攻撃という最悪のシナリオを迎えます。それを阻止すべく孤軍奮闘するジャック。情報は混乱し、指揮系統はずたずた。多くの人が死に、町は瓦礫と化す。この映画は現代では危機感の薄れた核戦争の恐怖を我々に呼び起こさせます。
 現代は「THE SUM OF THE FEAR」だったかな?このタイトルの意味はクライマックスで明らかになるでしょう。結構大事なタイトルだと思うのですが、相変わらず邦題は意味不明です^_^;

 平和とは何か。それを守るのもまた人間であり、彼らも間違えば恐怖に陥る。我々の感知しないところで核ミサイルスイッチは押されようとしているかもしれない。我々は核の恐怖を今一度考え直さねばならないという、反戦色満点のいい映画だと思います。

 ライアンは相変わらず無茶しますし、切れキレの頭と元海兵隊の身体能力で世界を救うべく孤軍奮闘します。その様子とロシア、アメリカという核保有超大国が戦争をするとどんなひどいことになるのか。核ミサイルをめぐる両国のぎりぎりのやり取りがこの映画の大きな見せ場であると思います。スケールが大きいので細部の「そういえば・・・」という疑問が出てくるかも知れませんが、それを差し引くだけの楽しみとドキドキ感があると思います。

 シリーズとしてみれば今までのアメリカ万歳色は薄れておりますが、今まで以上に最新テクノロージーを感じさせてくれるあたりはこのシリーズの魅力の一つでしょう。核戦争を疑似体験することで反戦への意識を高めようというのはある意味戦争映画のあるべき理想像であり、この映画はその理想を満たしていると思います。

ま、難しいことを考えずとも、度派手なシーンがありますので楽しいですよ。ハイテクのシーンもいいし、原爆解体シーンとか(あのサッカーボールみたいやつね)その筋の人もある程度納得していただけるのでは?強いて言えば、この映画のテーマを考えるならばより核爆発の惨劇を見せるべきではと思うのは、唯一の被爆国の血をもつ(一応ね)私だけではないと信じます。