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インソムニア ・・・ 85点

 知るひとぞしる監督クリストファーノーラン。「メメント」をとり終えた彼が取り組んだのがノルウェーの映画のリメイクでした。三人のアカデミーウィナー、アルパチーノ、ロビンウィリアムス、ヒラリースワンクという豪華キャスト。私にとっては生まれて初めて映画館で見たアルパチーノの作品です。
 アラスカの町へL.A.から助っ人としてやってきたウィルとハップ。彼らは猟奇殺人を次々と解決してきたベテランの刑事です。静かなアラスカの小さな町で見つかった少女の全裸死体。地元の警察が見落とした物事を独自の捜査で次々と発見していくウィル。そして彼は被害者のボーイフレンドを尋問しようと学校へ向かおうとします。しかし、地元の警官たちは不思議な顔をする。「もう夜の10時ですよ」
 そう、この時期のアラスカは太陽が沈まない。白夜なのです。

 タイトルのインソムニアとは「不眠症」のことだそうです。捜査の中で主人公のウィル(アルパチーノ)は不眠症になります。それは心の葛藤が原因でした。そのゆれる心、不眠症の不快さ、事件の不気味さをこの映画は斬新なカットや映像で巧みに表現しています。他の映画ではなかなか見られない、非常にハイセンスでテクニカルな映像が、この映画のハイライトと言えるでしょう。この映像を見るだけでも、この映画には一つの価値があると思います。とくに、そういったものが好きな人や、勉強している人は。
 また技巧的な映像に彩られるなか繰り広げられる俳優たちの演技はまさにすばらしいの一言です。ロスからアラスカにやってきたウィルとハップはこの手の猟奇的事件にはなれています。その鮮やかな手口は長年の経験とコンビネーションを感じさせて、私は非常にうきうきしてしまいました。お互いを良く知るウィルとハップのコンビのやり取りは、非常に見ごたえがありますよ。
 そして、アカデミー女優のヒラリーは新米の女刑事エリーを演じます。彼女にとってウィルは大学の論文の題材にするほどのアイドル。その尊敬が全身に現れている登場シーン、そして最初のセリフは見ていてぞくぞくしました。飛行機の出迎えをするエリーは憧れのアイドル刑事に会える喜びで知らず知らずに笑顔になっています。飛行機から出てきたウィルにかけより挨拶をする・・・。字幕では普通の挨拶に訳されていたのですが、その英語は(すまん忘れた)尊敬があふれた特別な響きがありました。このやり取りだけでも彼女のすばらしさが現れていて私は非常に気に入りました。
 さらにもう1人のアカデミー俳優ロビンとアルパチーノのやり取りは緊迫の火花が散ってます!!互いに主導権を探り合う船上での会話のシーンはもう鼻血が出そうでしたよ・・・。彼にしては珍しいダークなキャラクター。今までにないロビンを見ることができるいい映画です。
 三人の演技は非常に抑えた感じ、抑揚が効いたマニアックさすら感じさせる極上のものです。特にウィルを演じたアルパチーノ・・・(T_T)<うれし泣き。もうたまりません・・・。彼はストーリーが進むにつれて不眠症になっていくのですが、その心の揺れ動きの表現はまさに鬼。脱帽しました。最近は、このような抑えた魅力がひかりますね、彼は。狼たちの午後やスカーフェイスもいいですが、激渋の物腰もたまりません♪
 犯人を泳がせるというのがウィルの捜査手法。そうして犯人を追い詰めた霧のシーンはまさにドキドキです。そうして事件は二人目の被害者が出てきて・・・。

 サイコサスペンスという作品としては、独自の切り口と申し上げておきましょうか。ホラー的な要素や猟奇的な部分は抑えられており、それよりもむしろ俳優たちのやり取りとその心理描写に費やされたテクニカルな映像美がこの映画の見所だと思います。
 不眠症に苦しみ葛藤するアルパチーノは、エリーが尊敬する凄腕刑事ではなく弱さを持った一人の男。そんなやり取りでこの作品が訴えたかったものとは・・・。

 そう、そこなんですよ。演技も凄いし映像もすばらしい。しかし、訴えることはナンなのか?となると、私自身はまだ良くわかっていない状況です。そういった意味では策士策に溺れる、じゃないですが「熱さ」にかけているかな・・・というのが85点の理由です。テクニカルすぎて、ナンだったの?と思う方もいらっしゃるかも・・・。そういった意味では真の感動はないのかもしれません。しかし、非常に映画作品としての美しさがありますのでご覧になってもよろしいかと思いますよ。普通の映画では満足できない、大人向けの映画といえるでしょう。 感動を求めて聴く音楽と勉強と一流の技術を聴くための音楽の違いって感じかな?


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