39 ・・・ 90点
皆さんは邦画に何を求めますか。
はっきりいて下降線。韓国はハリウッドに対抗すぺく、大規模な良作を世に送り出している気がしますが、寅さんも伊丹監督もいない、ましてや黒沢明が売れない日本は何を求めているのでしょうか。(売れてるよ!!という突っ込みは却下。一般人はけして見ない)
アニメの良作「パーフェクトブルー」に「何で日本でサイコサスペンス作るとああなるかねぇ〜」という名台詞がありますが、それへの反証としてこの作品をおすすめします。このような作品は日本でしか作れないのは間違いありません。とにかく、ハリウッド的なサスペンスとは一線を画します。
サブタイトルは「刑法第三十九条」です。ま、そのままですね。要するに精神に異常がある人は無罪になるっていう法律です。
主人公の香深(鈴木京香)はとある事件の司法精神鑑定を依頼された藤代教授(杉浦直樹)の助手として事件を知ります。被告人はとある夫婦を殺害。妊娠中の婦人の腹部などを蹴る殴るなどしたのち刺殺、夫の首をしめて気絶させたところを背後からメッタ刺しという極めて猟奇的なものです。しかし、犯人は自ら死刑を求めているというのです。藤代教授は多重人格の診断を下しますが・・・。
この作品から私が得たものは、何と言っても内面を描くにはやっぱり日本語はいいねぇ、ということです。日本独自のドロドロ感を描くという魅力を私は感じました。
という能書きはどうでもいいです。とにかくこの作品が凄いのはその演技です。被告人の柴田(堤真一)は劇団構成員です。ということで、日本全国の「劇団構成員」を自称する人はこの作品をみなくてはダメです。(断言)役者が役者を演じる。しかも二重人格。すさまじいパワーを感じる演技です。脇を固める面子も物凄い。国選弁護人は樹木希林さん。検事江守徹さん。刑事には岸辺一徳さん。主人公の母に吉田日出子さん。さらには山本未来さん・・・凄すぎ!!!(T_T)。くせのある演技が火花を散らしています。しかも、ド派手な火花ではなく、抑えた、非常に抑えた熱さがそこにはあります。接見のシーンなんて・・・タマラン・・・。このシーンのような行間のすばらしさ、一流の演技を堪能できます。
カット、構図、音声、なにより色。(この色はハリウッドには絶対無理)非常に野心的なつくりはテクニカルで、その舞台に上るのは前述の曲者ばかり。入り組んだシナリオと人間関係はみるものを挑発し、神経を逆なでするいらいら感満載のキャラクターと絵作りは正に国宝。極めて大人向けというか玄人向けというか、劇団構成員向けというか(しつこい)
私はそんなに邦画は見ませんが、「こういうやり方もありだな」と思いました。派手な作品にお金かけて立ち向かうのもいいですが、こういう日本にしかない手法で迫るのもいいんじゃないかなぁ・・・。テーマはわかりやすく、宦官びいき(字あってる?)を書き立てるのも万人向けか。しかし、この手法は好きな人じゃないと眠くなるかも知れません。あとテーマと作品の雰囲気が重過ぎるので家族でもご覧になれないでしょう。好き嫌いははっきり分かれますが、はまると抜け出せないよ・・・。秒でDVD買った私のようにね。99年の作品ですが、この手法では色あせなぞは関係無し。それこそ39条がある限り楽しめる作品ではないでしょうか。
あ、最期におせっかいを。被告人の名前は柴田です。覚えた?し、ば、た。柴田です。これだけしっかり覚えていただければ、そんなに惑わされずにご覧に慣れるでしょう。まぁ、惑わされてもう一回見る羽目になるのもおすすめですが。
思いっきりいらいらしてください。是非。おすすめです。